地域おこし協力隊の給料はいくらですか?
地域おこし協力隊の「給料」にあたる報償費等は、総務省の特別交付税措置で隊員1人あたり年間上限350万円(令和7年度措置。令和6年度の320万円から引き上げ)です。これとは別に、住居や活動用の経費に充てる「その他活動経費」が上限200万円あり、両方を合わせた上限は550万円/人となります。ただしこれは国が自治体を財政支援する際の上限額で、実際に隊員へ支給される金額・内訳は自治体・年度ごとに異なります。
総務省が示す報償費・活動費の上限額
地域おこし協力隊員は自治体から委嘱を受けます。一方、契約関係は別の論点です。総務省の地域おこし協力隊取組ハンドブック(令和8年3月)では、一般職の会計年度任用職員として自治体が雇用する形が一般的とされています。ほかに業務委託契約を結ぶ形や、関係団体の職員等が委嘱される形もあります。給与そのものを一律に定める全国共通の金額はなく、総務省が示しているのは自治体に対する特別交付税措置の上限です。
総務省地域力創造グループ「地域力創造グループの令和7年度新規・拡充施策について」(令和7年6月)および「地域おこし協力隊推進要綱」(令和8年3月5日一部改正)によると、令和7年度以降の地方財政措置は次のとおりです。令和6年度は報償費等320万円・合計520万円でしたが(総務省「令和6年度 地域力創造グループの新規・拡充施策等」〔令和6年5月〕)、令和7年度に引き上げられました。
| 費目 | 上限額(令和7年度以降・1人あたり) | 用途の例(推進要綱の例示より) |
|---|---|---|
| 報償費等 | 350万円 | 給与相当分(期末手当等の各種手当を含む) |
| その他活動経費 | 200万円 | 住居・活動用車両の借上費、活動旅費、作業道具・消耗品費など |
| 合計 | 550万円 | — |
月額に単純換算すると報償費等は約29.2万円が上限の目安になりますが、これは国の財政措置の枠であって手取り額ではなく、自治体が上限いっぱいまで支給するとも限りません。募集要項に記載される金額は自治体・年度によって差があるため、応募検討時は必ず個別の募集要項で確認してください。推進要綱では、報償費等の上限を高度専門人材は450万円、辺地等の著しく不便な地域で活動する隊員は400万円とする特例があります。ただし、どちらもその他活動経費を含む合計550万円が上限です。
総務省の令和7年度の隊員数等によると、隊員数は令和6年度の7,910人から令和7年度は8,196人に増え、取組自治体数は1,187団体です。総務省は令和8年度までに10,000人とする目標を掲げています。
都道府県別に見る定住率——広島・北海道が上位、秋田・宮崎は5割台
地域おこし協力隊の「実態」として応募者が気になるのは、給料水準だけでなく、任期後にその地域へ定住できているかどうかです。総務省地域力創造グループ地域自立応援課「令和7年度 地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果」(令和8年4月24日公表、調査時点:令和7年5月1日)によると、令和2年4月1日〜令和7年3月31日の直近5年間に任期終了した隊員8,762人のうち、およそ70.3%(6,163人)が同じ地域に定住しています。内訳は、活動地と同一市町村内への定住が5,038人(57.5%)、近隣市町村内への定住が1,125人(12.8%)で、他の地域へ転出した隊員は2,013人(23.0%)でした。
この調査には都道府県別の任期終了者数と定住者数も掲載されています。当サイトで全47都道府県のデータを独自に定住率順に並べ替えたところ、上位・下位の顔ぶれは次のようになりました(任期終了者数が少ない都道府県はサンプルが小さく数値が振れやすいため、下表では任期終了者数30人以上に絞っています。この条件で神奈川県〔3人〕・大阪府〔5人〕・愛知県〔25人〕の3府県が対象外になります)。
定住率が高い上位10道県
| 順位 | 都道府県 | 任期終了者数(直近5年) | 定住者数 | 定住率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 広島県 | 108人 | 86人 | 79.6% |
| 2 | 北海道 | 1,225人 | 959人 | 78.3% |
| 3 | 長野県 | 656人 | 512人 | 78.0% |
| 4 | 静岡県 | 125人 | 96人 | 76.8% |
| 5 | 兵庫県 | 198人 | 150人 | 75.8% |
| 6 | 栃木県 | 123人 | 93人 | 75.6% |
| 7 | 山口県 | 125人 | 94人 | 75.2% |
| 8 | 山梨県 | 172人 | 129人 | 75.0% |
| 9 | 青森県 | 105人 | 78人 | 74.3% |
| 9 | 富山県 | 70人 | 52人 | 74.3% |
定住率が低い下位10都道県
| 順位 | 都道府県 | 任期終了者数(直近5年) | 定住者数 | 定住率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 宮崎県 | 223人 | 124人 | 55.6% |
| 2 | 秋田県 | 179人 | 100人 | 55.9% |
| 3 | 島根県 | 388人 | 234人 | 60.3% |
| 4 | 長崎県 | 115人 | 70人 | 60.9% |
| 5 | 沖縄県 | 98人 | 60人 | 61.2% |
| 6 | 東京都 | 31人 | 19人 | 61.3% |
| 6 | 三重県 | 142人 | 87人 | 61.3% |
| 8 | 石川県 | 89人 | 56人 | 62.9% |
| 9 | 岩手県 | 296人 | 188人 | 63.5% |
| 10 | 山形県 | 198人 | 128人 | 64.6% |
(全国平均は70.3%。参考値として、表から除外した3府県は、神奈川県が3人中3人定住=100.0%、大阪府が5人中3人定住=60.0%、愛知県が25人中16人定住=64.0%でした)
定住率の差が何に由来するかをこの調査だけでは断定できません。島根県・秋田県のように直近5年間の任期終了者数が比較的多い県でも定住率に差があります。任期終了者数は現在の受入隊員数とは異なる指標であるため、受入規模と同じものとしては扱えません。全都道府県の詳細な数値は出典に記載した総務省の公表資料で確認できます。
任期終了後、隊員はどんな「なりわい」に就いているか
同調査では、直近5年間に任期終了し、活動地と同一市町村内に定住した隊員5,038人について、定住後の仕事の内訳も公表されています。
| なりわい | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 起業 | 2,296人 | 45.6% |
| 就業 | 1,753人 | 34.8% |
| 就農・就林 | 583人 | 11.6% |
| 事業承継 | 70人 | 1.4% |
| その他 | 181人 | 3.6% |
| 不明 | 155人 | 3.1% |
「就業」の内訳では、行政関係(自治体職員・議員・集落支援員等)が480名と最も多く、次いで観光業176名、農林漁業138名、地域づくり・まちづくり支援業99名、教育業78名、医療・福祉業72名と続きます。「就農・就林」では農業が477名で大半を占め、林業54名、畜産業20名、漁業・水産業12名です。「起業」では飲食サービス業(古民家カフェ・農家レストラン等)が308名で最多、美術家・デザイナー・写真家等が217名、宿泊業(ゲストハウス・農家民泊等)が181名、小売業174名、観光業130名と続きます。この調査は法人・個人の別や、起業に至った要因を集計したものではありません。事業承継は70名で、伝統工芸や民宿、飲食業などの承継が例に挙がっています。
応募前に確認しておきたいポイント
- 募集要項の金額を必ず確認する:総務省の上限額(令和7年度で報償費等350万円・その他活動経費200万円)はあくまで国の財政支援の上限であり、自治体ごとの実際の支給額・住居補助の有無・公用車貸与の有無は募集要項でしか分かりません
- 契約関係を確認する:一般職の会計年度任用職員としての雇用か、業務委託か、関係団体の職員等として活動するかを確認します。契約関係によって社会保険や副業の扱いが異なります
- 定住率だけで自治体を判断しない:上表は都道府県単位の集計です。任期終了者数が少ない都道府県では率が大きく変動しやすいため、応募先自治体の受入体制や任期後支援も個別に確認します
- 任期後の支援策を確認する:起業支援研修、事業承継のマッチング支援、空き家改修費補助などの有無を自治体に確認します。総務省の財政措置では、同一市町村内の起業・事業承継に対し、任期2年目から任期終了後3年以内、1人100万円を上限とする枠組みがあります。起業で1人以上を新規雇用する場合や、事業承継で雇用数を維持する場合は200万円が上限です。自治体による実施と要件確認が必要です
よくある質問
Q. 地域おこし協力隊の給料は誰が決めていますか?
各自治体が予算・条例に基づいて決定します。総務省が示す上限額(令和7年度で報償費等350万円/人)は、自治体がその費用について国の特別交付税措置を受けられる上限であり、隊員に必ずその金額が支払われることを保証するものではありません。実際の金額は自治体・年度により異なるため、募集要項での確認が必須です。
Q. その他活動経費は隊員が受け取れますか?
必ず隊員が現金で受け取れるものではありません。総務省の財政措置では、報償費等とは別に「その他活動経費」(令和7年度以降は上限200万円/人)が設けられています。自治体が住居や活動用車両の借上費、活動旅費、作業道具・消耗品費などに使う経費です。家賃補助や公用車貸与の有無・金額は自治体ごとに異なります。
Q. 任期後に定住できる確率はどのくらいですか?
総務省の令和7年度調査では、令和2〜6年度に任期終了した隊員8,762人のうち70.3%(6,163人)が同じ地域に定住しています。ただし都道府県別に見ると55%台から80%近くまで差があり、任期終了者数が少ない都道府県ほど数値が振れやすい点には注意が必要です。
Q. 地域おこし協力隊とアルバイトの掛け持ち(副業)はできますか?
副業の可否や条件は自治体・活動内容によって異なり、全国一律のルールはありません。応募前に募集要項を確認するか、自治体の担当窓口に直接問い合わせて確認するのが確実です。
まとめ
地域おこし協力隊の「給料」は、総務省が示す特別交付税措置の上限(令和7年度以降は報償費等350万円・その他活動経費200万円、合計550万円/人)と同じとは限りません。実際の報酬や住居支援等は自治体・募集ごとに異なります。応募前に募集要項で具体的な金額と契約関係を確認し、都道府県別定住率は任期終了者数と調査期間を併記した参考情報として扱ってください。
出典
いずれもURL確認日: 2026年8月20日。
- 総務省地域力創造グループ地域自立応援課「令和7年度 地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果」(令和8年4月24日公表・調査時点:令和7年5月1日) https://www.soumu.go.jp/chiikiokoshitai/pdf/001003056.pdf
- 総務省地域力創造グループ「令和6年度 地域力創造グループの新規・拡充施策等」(令和6年5月) https://www.soumu.go.jp/main_content/000959445.pdf
- 総務省地域力創造グループ「地域力創造グループの令和7年度新規・拡充施策について」(令和7年6月) https://www.soumu.go.jp/main_content/001022439.pdf
- 総務省「地域おこし協力隊推進要綱」(平成21年3月31日制定・令和8年3月5日最終改正) https://www.soumu.go.jp/chiikiokoshitai/pdf/000998435.pdf
- 総務省地域力創造グループ地域自立応援課「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」(令和8年4月24日公表) https://www.soumu.go.jp/chiikiokoshitai/pdf/001003055.pdf
- 総務省地域力創造グループ地域自立応援課「地域おこし協力隊取組ハンドブック」(令和8年3月) https://www.soumu.go.jp/chiikiokoshitai/pdf/001032787.pdf
※本記事の金額・人数はいずれも上記資料公表時点のものです。報償費等の上限額は年度ごとに見直される場合があり、実際の支給額・待遇は自治体・年度により異なります。最新情報は総務省および応募先自治体の公式発表をご確認ください。
